心が壊れた後のこと ―初めての診察―

会社へ行けなくなった日、
妻に促されて病院へ行くことになりました。

精神科へ行くのは初めてだったため、
ネットで近くの病院を調べ、そのまま向かいました。

病院へ向かう途中、
精神的な診断が下されることへの怖さと、
診察してもらえることへの安堵感はありました。

昔見たターミネーター2の中で、
精神病棟に拘束されているシーンが強く印象に残っていて、
自分もそうなるのではないか。
そんなことを考えていました。


病院は精神科以外の診療もしていたため、
待合室には他の患者さんもいました。

ですが、周囲からそういう目で見られている気がして、
待合室ではずっと下を向いていた記憶があります。

診察の順番になって名前を呼ばれたことに抵抗がありました。
呼ばれた時は、「名前で呼ばないでほしい」そう思いました。

「もう早くここから出たい、いやだ」
そんな気持ちが強かったです。

診察では、先生から「どうしました」と聞かれましたが、
何から話せばいいか分からず、言葉に詰まりました。

話しやすいというよりは、
事情聴取を受けているような感覚の方が強かったです。

うまく話さないといけない。
そう思えば思うほど、言葉が出てきませんでした。

何を話していいか分からないまま、
とりあえず、その日の朝のことを話したと思います。

その後、仕事のことや、会社へ相談したかを聞かれたように思います。

当時の私には、その空気感も怖く感じていました。

会社へ連絡されるのではないかと思い、
「会社には連絡しないでください」
そんなことを言った記憶があります。

話をしたあと、
先生からは、会社へ環境を変えるよう伝えてください、
と言われました。

「それができないから今ここにいるのに…」
そう思いました。

ですが同時に、
環境を変える必要がある状態だと判断されたことに、
「自分だけがおかしかったわけではなかった」
そんな思いがわいてきて、安心に近いものもありました。

診察が終わった後は、
精神科へ行ったことへの抵抗感よりも、
その場から離れることができた安心感の方が大きかったです。

具体的な病名を言われなかったことで、
抵抗感が少なかったのかもしれません。


病院の帰りには、妻に電気屋へ連れて行かれました。

最近ずっと家にこもっていたことを、
気にしてくれていたのだと思います。

ですが、自分から行きたいと思ったわけではありません。
断ることも、その場で何かを考えることもできず、
ただついて行っていた、そんな感覚でした。

特に何かを買ったわけではありません。

人は少なかったですが、周囲の目は常に気になりました。

「どういう風に見られているのだろうか。」
「さぼっていると思われてないだろうか。」
「何かおかしい人だと思われていないだろうか。」

そんな思いが頭の中でぐるぐるしていました。


帰宅後は、
「この先どうしようかな」
そんなことを思いながらも、何も考えることが出来ず、
ぼーっとしていました。