薬との向き合い方
病院では、
朝晩の食後に飲む薬と、
不安になった時に飲む薬の二種類が処方されました。
朝晩の薬については、
すぐに効果を実感するような感覚はありませんでした。
一方で、不安になった時に飲む薬は、
飲酒した時のように、少し気持ちが軽くなる感覚がありました。
酔うわけではありません。
ですが、ふわっと力が抜けるような感覚でした。
仕事中、急に体が熱くなるような感覚や、
心拍が上がる感覚、ふわっとするような感覚に襲われることがあり、
そういう時に飲んでいました。
飲んだ後は、確かに少し楽になった気がします。
ですが、2、3回飲むうちに、
飲むことへの抵抗が薄れてきているようにも感じました。
少しのことでも飲んでしまうのではないか、
それが癖になってしまうのではないか、
そうなってしまうことが、一番怖かったです。
通院に対して
環境が変わり、仕事も気持ちも、
以前より落ち着いてきました。
「もう大丈夫かもしれない」
そう思う部分もありました。
その一方で、
薬があるから仕事ができているのかもしれない、
という思いもありました。
なので、薬をもらうために通院していた部分もあったと思います。
通院日が近づくこと自体は、
そこまで気が重くなるほどではないですが、
やはり診察にはあまり行きたくありませんでした。
待合室の空気に慣れないことや、
名前を呼ばれることへの抵抗があり、
周囲からどう見られているのかが常に気になっていました。
「普通ではないと思われていないだろうか。」
「何かおかしい人だと思われていないだろうか。」
そんなことばかり考えていた気がします。
診察も事情聴取のようになる怖さがありました。
元の自分に戻りたい気持ち
通院することへの抵抗感は、最後まで変わりませんでした。
薬を飲んでいる以上、
これまでと同じ「普通の状態」ではない。
当時は、そんな感覚もありました。
今振り返ると、精神的な病気に対して、
自分自身もどこか偏見を持っていたのだと思います。
だからこそ、
「元に戻りたい」という思いが強かったのかもしれません。
薬に頼っていくことへの怖さもあり、
朝晩の薬についても、自分の判断で距離を置くようになっていました。
もちろん、本来は医師と相談しながら減らしていく必要があります。
この時はたまたま大きな問題なくやめることができましたが、
後になって、自己判断で薬を減らすことの危険さを知ることになります。
あの頃を振り返って
結局、通院したのは三か月ほどでした。
薬がなくても普通に生活できるようになり、
当時は「治った」と思っていました。
ですが今振り返ると、
環境を変えてもらい、周囲に支えてもらっていたことで、
何とか仕事ができていただけだったのだと思います。
あの時、自分では「普通に戻れた」と感じていました。
ですが、それは決して、
何もなかった頃に戻った、ということではありませんでした。
三年後、うつ病と診断され、また薬を飲み始めます。
無理に断薬しようとして、何度も離脱症状に苦しむことになります。
この頃は、
薬をやめること自体への怖さは、まだそこまでありませんでした。
薬を飲み続けている以上、
自分がそういう状態なのだということを、
受け入れたくなかったのだと思います。