私の心が壊れるまで ―あの日のこと④― 

出向先の責任者(=軍曹)は、絶対的な存在でした。
それは出向している私たちだけでなく、出向先の部署内でも、
そのような立ち位置であることを感じていました。

軍曹からの指示は、最優先で対応するものとされており、
断ることはほとんどなく、できる限り対応していました。


対応できない状況であっても

ある日、今日中納期の仕事をしていました。
軍曹ではなく、別の担当者に依頼されたものです。

朝からずっとかかりっきりで、昼休憩も返上し、
定時を回ったころに、ようやく完成が見えてきました。

そんな状況の中、軍曹が出向先の先輩(=しごでき先輩)のところへやって来ました。
何やら話をしていましたが、私は話に加わることなく、仕事を進めていました。

その後、軍曹が私のところへやってきました。

「これ今日中によろしく」

とはいえ、さすがに対応できそうな状況ではありません。
時間もすでに定時を過ぎていました。

「すみません、今日中の業務をいただいており、対応ができません。」

これまで、難しい状況であっても仕事は引き受け、
深夜残業になろうが、納期に間に合うように対応してきました。
ですので、断ったのは初めてだったかもしれません。

しかし軍曹から返ってきた言葉は、

「やれと言われればやる。それが会社員なんだよ!」

周囲が振り向きます。

「……わかりました」

受けるほかありませんでした。

どうしていいかわからず、しごでき先輩に相談しますが、
先輩も軍曹の今日中の仕事の対応をしており、
そのため、私のところに話が来たようでした。

しごでき先輩からは、

「今している仕事は事情を説明して、
納期をなんとかならないか、お願いするしかないね。」

と言われました。

私は仕事をいただいた担当者に、軍曹から今日中に対応するように言われたこと、
そのため現在の仕事を今日中に完了できない旨を説明しました。

担当者は事情を理解してくれて、別の関係先に連絡を取り、
納期の調整を行ってくれました。

電話を切ったあと、

「翌日の午前中で対応お願いできる?軍曹の仕事を優先してもらっていいから。」

と言われました。

私は、「すみません、調整いただいてありがとうございます」と伝え、
軍曹からの仕事に取りかかりました。

本来であれば最優先に対応すべき仕事だったのに、
今日中に完了できないこともあり、申し訳ない気持ちでした。

軍曹の仕事をなんとかその日中に終わらせましたが、
当然のように終電には間に合いませんでした。

翌日、いつもより早く出社し、午前中に完了させ、納期を守りました。


出向する前にいた部署(=元部署)で、このような働き方をすると、
厳しく注意されます。

ですが、修羅部署からの業務に関しては、
注意されることはなく、
ふれられることすらありませんでした。

※出向という表現をしていますが、
出向先のフロアにて勤務していたため、所属は元部署にあります。

むしろそれが当たり前のように扱われていました。
違和感はありましたが、
それを口に出すことはできませんでした。